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いかに「アベノミクス」が役立たずであるか

古賀茂明×望月衣塑子が「独裁者」を斬る!①

■日本の将来はかなり暗い

 他には、イギリスの高等教育専門誌が毎年、発表する「THE世界大学ランキング」。2018年版が2017年秋に発表されましたが、1457校のうち日本は東京大学が第46位、京都大学が第74位。アメリカはベスト10に7校も入っていますが、日本は100位以内に入っているのは、先の2校だけです。しかも、アジアでは中国、香港、シンガポールの大学の方が東大よりも上に行ってしまいました。東大はアジアでやっと第7位で、下がるばかりです。世界で活躍したいなら、東大なんかやめて北京大学かシンガポール大学に行った方がいいという悲しい状況なんです。日本の将来を担うのは若者。そのレベルを決めて行くのが教育。その教育で世界に負けているということは、日本の将来は暗いということになってしまいますね。

望月 菅さんがよく官邸会見で、失業率の改善について「民主党政権時には、全県で雇用率が1.0を超えているところが46都道府県中、二つしかなかったのに
、現在では46都道府県全部だ」とよく繰り返しています。最近読んだ『アベノミクスによろしく』(明石順平著/インターナショナル新書)という本では、雇用の改善は民主党政権時代からの大きな流れであり、アベノミクスとは関係ないことが看破されていて驚きました。雇用改善の要因を、大きく三つにまとめています。

①日本は生産年齢人口が減っていく傾向にある。
②正規雇用が非正規雇用に置き換えられることにより、雇用をたくさん必要とする雇用構造に変化している。
③高齢化の影響で、医療福祉分野の需要が伸びている。

 というわけで、アベノミクスが引き起こしている円安と雇用改善は関係がないというのです。失業率が下がった、有効求人倍率が上がったという点に注目すれば、一見、景気回復が進んだように見えますが、実際は住んでいる地域をみるとわかるように、少子化が進み、若年層の働き手がいなくなっており、外国人労働者が溢れています。雇用が改善したというより、若者の働き手がいなくなっているという状況が生まれているだけではと感じます。また、非正規社員の数は年々上昇しています。結局、日本の教育や経済の状況というのは、ちっとも好転していない。古賀さんのお話を聞くと、むしろ世界標準で見たら悪くなっているのではないか。そういう気がしてなりません。

『国難を呼ぶ男! 安倍晋三 THE 独裁者』より構成)

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古賀 茂明(こが しげあき)

1980年東京大学法学部を卒業、通商産業省(現・経済産業省)に入省し、大臣官房会計課法令審査委員、経済産業政策局課長、中小企業庁経営支援部長などを歴任。2008年国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、急進的な改革を次々と提議。2011年3月の東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故を受け、日本で初めて東京電力の破綻処理策を提起。その後、経産省から退職を勧告され辞職。著書に『日本中枢の狂謀』(講談社)『国家の共謀』(角川新書)他多数。



望月 衣塑子(もちづき いそこ)

慶應義塾大学法学部卒業、東京新聞に入社。2004年日本歯科医師連盟のヤミ献金疑惑をスクープし、自民党と医療業界の利権構造の闇を暴く。2009年足利事件の再審開始決定をスクープ。東京地裁・高裁担当、経済部記者などを経て、現在は社会部遊軍記者。防衛省の武器輸出政策、軍学共同などを取材。森友・ 加計疑惑で菅官房長官に斬り込み、これを契機に追及が加速し話題を集める。二児の母。趣味は子どもと遊ぶこと。著書に『武器輸出と日本企業』『新聞記者』(角川新書)など。


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